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ぼくが考えたこの漫画がすごいランキング2023の1位に輝いたメダリストについて語ります

おはこんばんハロチャオ。

この記事では、つるまいかだ先生の漫画である『メダリスト』に対する想いを書き綴ります。記事作成時点での最新話(単行本7巻まで)の内容についての言及が含まれるので、ネタバレ注意です。ネタバレがあまりない程度に漫画の概要だけ知りたいって方はメダリストってどんな漫画のところだけ読んでもらえれば。

メダリストってどんな漫画

小学5年生の結束いのりちゃんと筋肉ムキムキ太陽神の明浦路司(あけうらじつかさ)コーチがフィギュアスケート兼美少女バトル※1でオリンピック金メダルを目指す漫画です。※1まじめなフィギュアスケートの話です。でも可愛い子がいっぱい出てくるのであながち間違ってもいない。つるまいかだ先生のデビュー作らしいんですが、めちゃくちゃ絵がキレイだしストーリーテリングもしっかりしてて、全然デビュー作には見えないクオリティです。

私自身は正直フィギュアスケートをちゃんと観た経験はないです。オリンピックの試合をテレビでなんとなく見てたとか、そのニュースを見てたとか、ほんとそのくらいです。フィギュアスケートの技はもちろん、採点方法なんかも全然わからないくらいの知識レベルでした。ただ、作中でわかりやすくフィギュアスケート周りの解説してくれるので前提知識は全く要らなかったです。ソシャゲに例えて選手の演技構成の狙いや採点方法を説明してくれたり、知らない人が理解しやすいような工夫も見られて◎。なのでフィギュアスケートに詳しくない人でも大丈夫、というかこの漫画読んでフィギュアスケート自体にも興味が湧いたくらいなので、詳しくない人こそオススメと言えるかもしれません。

内容についてもこの漫画はめっちゃ人にオススメしやすいなと思ってます。それは主役であるいのりちゃんと司先生がすごく前向きで、いろんな壁にぶつかりながらも真っ直ぐ取り組んでいく姿が爽やかで読みやすいからです。また、フィギュアスケートの美しさみたいなものが漫画として表現されています。ジャンプの躍動感やスピード感はもちろん、演技中のシルエットの美しさが目を引きますね。スラムダンクを思い出しました。スラムダンクのいくつかのコマはNBA選手の写真を参考にしてるんですが、トップレベルのスポーツ選手のフォームって美しさがありますよね。メダリストが同じように実際の写真を参考にしてるかはわからないですが、1つ1つのポーズが指先までピシッとしていて絵を追っているだけでも読む価値あるなと感じます。

話の展開としては、いのりちゃんはスケートを本格的に始めてからすごい勢いで成長していきます。級位認定試験を次々パスしていくし大会初優勝もすごく早いタイミングでした。素人目に見て「漫画とは言えこんな短期間でここまで成果がでるなんてかなり非現実的なんじゃないか」という気持ちもありつつ、「もしかするとリアルでもこのくらいのスピードで成長できないとオリンピックで金をとるなんて夢のまた夢なのか・・・?」ということなのかなとも読めて日本フィギュアスケート界の厳しさを垣間見れた気がしました。リアルのフィギュアスケート事情には全然詳しくないので、この辺の実際のところをご存知な有識者の方がいれば教えてもらいたいです。

心が揺れたシーンたち

ここからは個人的名シーンを語りたいと思います。(この記事で一番書きたかったことははこれ)

「私はそれを諦める理由に絶対しない」

いのりちゃんがね、偉すぎるんですよ。これはいのりちゃんがノーミスで演技をやりきったものの、大会で惜しくも2位になってしまったときのセリフです。フィギュアスケートを5歳から始めるような子がいる中いのりちゃんは小5からクラブで本格的に始めました。昭和の漫画だとこの差を練習量でカバーするみたいな展開のものもありそうですが、この漫画はめっちゃリアリスティックです。他の選手も当然精一杯頑張っています。怪我のリスクや習得効率を考えると練習量には限界があるということを認めています。

そしてこの台詞「私はそれを諦める理由に絶対しない」に繋がります。つまり遅く始めた分の時間は頑張っても取り返せないという事実を受け入れ、それをスケートで一番を目指すのを諦める理由にはしないと宣言するというシーンです。こんな思考回路をもつ小5女子いますか?もちろんこの漫画はフィクションですが。

私みたいな凡人は諦めることの名人なのかもしれません。諦める理由、頑張らない理由をいくらでも思いつくことができますし、その理由に従ってダラダラ過ごしています。偉人たちはもちろん恵まれた身体であったり地頭であったり生まれ持った能力があるのかもしれませんが、何より諦めない力があるというのが最も大事な資質なのかなあと思わされました。

「見なよ…オレの司を…」

「司先生の演技がみれるなんてありがたい事ないからちゃんと見たほうが良いよ?」練習中、司先生が理凰くんという生徒にお手本で1曲演技するシーンがあって、いのりちゃんがドヤ顔で理凰くんを諭すシーンです。

このあたりの一連のくだりはホント読んでほしいです。未読者置いてけぼりで感想を述べると、あの理凰くんが司先生になつきまくるのがめっちゃニヨニヨできますよね。あと単純にスタイルのいい司先生が演技するシーンがめっちゃ迫力あります。基本的に小学生女子の演技がメインで描写されているのでそれとの対比的な意味合いでもすごくいいシーンだなあと思いました。

「あなた自身が自分の選択を軽んじてはいけないよ」

司先生がいのりちゃんに求める水準高すぎてビビります。司先生はいのりちゃんを子ども扱いしないんですよね。どんな選択肢があるかの提示と、それぞれの道がどんな見通しがあるかの説明はコーチとしてしっかりするものの、どの道を選ぶかの選択はいのりちゃん自身にさせます。

フィギュアスケートにしても練習になにをするか自体も選択肢があります。ジャンプの練習にスケーティングの練習…はたまたバレエ、ダンスの練習や陸上トレーニングなどもあります。そして上述の通り練習時間には上限があるので、なにを取り入れ、なにを捨てるか、その選択の積み重ねの上にその選手の個性が生まれるのです。知識がない方が個性が生まれるみたいな言説のチャンチャラおかしさがわかりますね。

このシーンに限らず司先生はいのりちゃんを子ども扱いしないですし、二人のリスペクトし合う関係がホント読んでいて尊さGOE+5です。

「どれだけ世界を細かく感じられるかがコントロールの鍵だよ」

いのりちゃんが4回転サルコウを習得しようと練習しているシーンで、「成功しなきゃ」といういのりちゃんに伝えた司先生のセリフがこれです。これだよなあ~~~~って思って自分のスプラトゥーン上達のためにも取り入れています。

もう少し司先生の言葉を並べると、「成功を願い過ぎちゃだめだ」「これは思いの強さで跳べる魔法じゃないんだ。いのりちゃんに必要なのはガムシャラになることじゃないよ」「じゃあ代わりに4回転がどんな感覚か俺に教えようって考えてくれない」「飛び上がるときどこの筋肉がぎゅっとするか、どんなスピードで光が目の前を通り過ぎるのか、回る時降りる時どんな風が頬にかかってくるのか・・・」「成功のためじゃなくて一つでも多く言葉を見つけるために跳んでごらん。どれだけ細かく世界を感じられるかがコントロールの鍵だよ」

ある種のマインドフルネスだし、スポーツにおける認知の要素でもあると考えてます。

「うまくやらなきゃ」みたいな想いってパフォーマンスにいい影響を与えない雑念の一つなんですよね。こんな想いを持ちながらプレーしてもし失敗したら絶対イヤな気持ちになっちゃいますよね。ネガティブな心理状況は当然パフォーマンスを下げます。そうならないためには今の状態を評価せず、ありのままに注意を向けることが重要なメソッドになります。これは最近だとマインドフルネスって呼ばれる仏教的な精神修行のアプローチそのものですね。

また、スポーツにおけるアクションの要素としてこれを考えると認知の部分にフォーカスするのが一番の基本だよね、という見方もできそうです。選手のアクションというのは原則的に認知→判断→実行というプロセスであるとサッカーで言われていたりします。例えばピッチ上でフリーの味方選手を視認できればその味方にパスするという判断ができます。そう判断したらはあとはパスという動作を実行し個人技術を発揮します。サッカーだと複数人で行う競技なのでこの例のように敵味方の状況を認知することがメインで語られますが、おそらくミクロの部分で見るとパスのような個人技術にも認知→判断→実行のプロセスがあるんじゃないかとこのメダリストのこのシーンを見て思いました。自分の身体感覚にフォーカスをし、その認知に基づいて身体動作をどうするか判断、実行をするサイクルがあるんじゃないかと。それこそ司先生の言葉通り、筋肉の動きや目に映る光、頬にかかる風の感覚を認知しながら自分の動きを制御することでより精度の高い実行力が得られるかもですね。

こんな感じでメダリストではめっちゃ納得感がある練習シーンが描かれているのも花丸ポイントです。

今後の展望

メダリストの今後の展開を予想します。光ちゃんとの初対戦は絶対負けますよね。光ちゃんのラスボスオーラがヤバすぎて全く勝てる気しないですし、いのりちゃんはここまで結構順調なのでここらで負けて課題→修行パートに入るのかなーというのが直近の展望ですね。

あともっと大きなストーリーテーマとして司先生の問題の解決が期待されますね。自分のことになると極度に後ろ向きになるという設定の司先生ですが、すでにそのポテンシャルはいろんな人に認められてます。1読者としても司先生はめっちゃ素敵な人なので彼が報われる展開を切に希望します。

余談

本物のこの漫画がすごいランキングはこちら。

https://konomanga.jp/special/145771-2

今年の記事なんですけど、なんで2023なんですかね??あと漫画って数年間連載するから何年の漫画って判断難しいですよね。HUNTER×HUNTERも今年新刊出ましたけど、今年のこの漫画がすごいランキングに入れる対象にしてもいいのかな。

この記事も最初は読んだ漫画をランキングしようかと思ってました。でも自分の心の声に耳を傾けてみたらほんとに自分がやりたかったことはメダリストについて語りたかっただけだったのでこのような内容になりました。最初記事書き始めたときに今年読んだ漫画の整理をしていたので、その供養のためにいくつかオススメの今年読んだ漫画を最後に残しておきます。

その着せ替え人形は恋をする

すごいエッチな漫画。徐々にラブがコメる展開が増えてきたので要チェックですよ。

らーめん再遊記

ラーメンハゲ好きにはたまらない漫画。

放課後ていぼう日誌

釣り版けいおん。釣りのうんちく要素と可愛い女の子要素のバランスがよく読みやすい。

氷の城壁

リアル寄り君に届け。いい感じに徐々に徐々にラブがコメっていく丁寧な展開が良し。

その他

忍者と極道、帝一の國、裏バイト:逃亡禁止、もっこり半兵衛、これ描いて死ね、Landreallあたりが結構面白かったので気になった方は是非ググってみてください。