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【映画ネタバレ感想】クリストファー・ノーランほんとしゅごい①【メメント/インターステラー/インセプション】

 ここのところ、映画週間を過ごしていた。前もって映画鑑賞を予定してたわけではないのだけど、帰ったらとりあえずNetflixで映画を探して見る、という習慣がついてしまった*1

 映画に詳しいわけではない。ネットで名作を調べては観る、を繰り返していたところ、メメントインターステラーという超超名作にぶち当たった。鑑賞後、感動に浸りつついろいろ調べると、どちらも同じ監督らしい。『インセプション』の監督もやっていたクリストファー・ノーラン監督だ。ついついインセプションも見直してしまった。

 典型的な映画の楽しみは"ハラハラ"と"ホッ"だ。アクション映画なら銃弾飛び交うアクションシーン。仲間が負傷したり、主役が追い詰められたり、ハラハラしっぱなしだ。そして別働隊の救援がすんでのところで到着し、主役は助かる。その姿を見てホッと一息つき、ストーリーは次の展開へ進んでいく。

 この3作品はホントにそれがうまい。もちろんアクションシーンでそれを演出している場面もあるが、なにより序盤から謎が散りばめられ、少しずつ答えが明かされている脚本は珠玉の出来だ。どれも上映時間が比較的長い作品だが*2、序盤から緊張感ある展開が続き、全く飽きさせない。

 あまりに面白かったのでネタバレ感想を書いてみた。ちなみに私はネタバレを気にしない派だ。小説にせよ映画にせよ漫画にせよアニメにせよ、私にとって"名作"の定義は「何回見ても面白いと思える作品」だからだ。それにネタバレを見てから小説を読んでも面白さは変わらない(むしろネタバレ知ってたほうが小説を楽しめる。)という研究結果がカリフォルニア大学のリービットらによって発表されている。人はよく見知ったものに好感が湧くし(知覚的流暢性)、結末が分かっていると安心できて映画のディテール(演出や俳優の演技など)に集中できるから、というのが理由として挙げられている。

http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0956797611417007?journalCode=pssa
LEAVITT, Jonathan D.; CHRISTENFELD, Nicholas JS. Story spoilers don’t spoil stories. Psychological science, 2011, 22.9: 1152-1154.

以下、ネタバレ感想。
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メメント】見てください、この眩しい笑顔

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 見てください、この眩しい笑顔。これ、主人公が殺人を犯したときに撮ってもらった記念写真です。 映画見てない人からすると、そもそも殺人後に記念写真ってどういうことだって感じですが、それにしても晴れ晴れとした笑顔ですね。

 この映画の主人公、レナードは10分しか短期記憶を保てない病気にかかっています。そんな中、自分が書き残したメモを頼りに妻を殺した犯人にリベンジしようと犯人探しをします。作中とにかく次から次へと新しい事実が提示され、なにもかも二転三転していくので正直ネタバレ自体が難しいです笑

 主人公以外の主な登場人物は3人。テディナタリーそしてレナードの回想で登場するサミー。最終的に明かされる事実はこんな感じです。

  • レナードは自身の記憶障害が原因で、自分の妻を殺害してしまった。にも関わらず犯人は他にいると自分の記憶を捏造している。
  • レナードは復讐が完了していることを知りながら、かつテディは妻殺しと関係ないことを知りながら、「テディが妻殺しの犯人だ」というメモを10分後の自分のために書き残した。
  • テディは悪徳警官。レナードを利用して麻薬の売人ジミーから金を奪い取ろうとしていた。
  • ナタリーはジミーの情婦。レナードを利用して、自分を狙う別の麻薬売人ドッドを始末した。
  • サミーはレナードが作り出した妄想。サミーは自分の短期記憶障害のせいで奥さんを殺してしまったとレナードは回想してるが、これはレナード自身がやってしまったこと。それをサミーがやったこととしてレナードは自分の記憶を捏造している。

 レナードは自分の妻を殺してしまった事実が辛すぎたのか、10分しか記憶を保てない中で「犯人探し」に生きがいを見出しちゃったんですね。この映画を見終わればすべての事実が分かってスッキリするんですが、主人公が抱える問題は何一つ解決していないのでやるせない気持ちにもなります。

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 この映画、冒頭5分のところ主人公がテディを殺します。そしてこれがこの物語の結末です。メメントという映画のめちゃくちゃ面白いところで、”結末(現在)”から"原因(過去)"に向かって逆さまの時系列で物語が進んでいきます。それもレナードの記憶に従って、10分毎に。

 観ていたときこの仕掛は天才だなと思いました。レナードの気持ちを追体験できるんですマジで。レナードの1シーンは唐突に始まります。レナードも視聴者もそれまでの経緯が全くわかりません。レナードは記憶障害のためですが、映画の展開が未来から過去に進んでいるので視聴者もそのシーンに至った経緯が全くわからないのです。そしてその1シーンが一段落ついたら、次のさらに10分前のシーンが始まります。それも始まりは唐突なんですが、最後に直前のシーンと繋がり、そこでようやく経緯が分かります毎シーンごとに「あっ、これってそういうことか!」という"ホッ"の展開がありテンポ感がすごく良いです。

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 胡散臭さMAX。おヒゲがチャームポイントのテディ。正体が分かるのはこの映画の最後のシーン。なぜかレナードに馴れ馴れしくて、なぜかレナードが呼べばすぐ会いにきてくれる(呼ばなくても会いにくる)、なぜかレナードの車の中にいる。本当にいいキャラしていて、2回この映画を見ても不気味に感じられる存在です。

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 レナードを助けてくれる優しそうな女性ナタリー。でも実は、、、というキャラ。この鼻血はレナードを”わざと”激昂させて殴らせたもの。10分後その事実を忘れたレナードに、「これはドッドにやられたの。。。助けて。。。」ってドッドを始末するためにレナードを利用しようとする。女の演技ってこええええええってなります。

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 たら~ん。どこまでが作り話でどこまでが本当か全く分からないですが、レナードが保険会社の調査員時代に調査した短期記憶障害のサミー。回想シーンにのみでてきます。このサミー、見た目も行動もおちゃめな感じで好きです。

 レナードは健常な頃で、サミーの短期記憶障害が本当かどうかを調査していました。その一環として特定の行動をすると電流が流れてビリっとしちゃうテストを受けさせました。中学生のいたずらみたいなテストですね。そんなテストとはつゆ知らず、「たら~ん」と鼻歌交じりにテストを受けてくれるサミー。そして急に電流流されておこなサミー。この温厚そうなおっさんに中指立てさせるって相当やぞ笑。

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 モブキャラですが、レナードが泊まっているモーテルの主人も味があって好きです。レナードが何も覚えていないことをいいことに、悪びれもせず2部屋貸しています。領収書はちゃんと貰えってレナードに忠告してあげてるあたり、悪い人ではない。。。と思うんですけどね。

 それにしても悲しいのは、やはりレナードの周りにいるのは彼を利用しようとしている人たちばかりということですね。短期記憶障害って、程度の差こそあれ、いわゆる認知症として老いれば誰にでもなりうる病気です。これがひどくなってしまうと、付き合ってくれるのは家族か、お金を払った介護士か、自分を利用しようとする人だけで、友達なんて周りにいなくなるんでしょうね。。。ああでもレナードくんはナタリーとベッドインできているのでうらやまけしからんきっと幸せですね。記憶はなくとも。

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 長くなったのでインターステラーインセプションはは別記事で書きます。それでは。

*1:実はNetflixからアマゾンPrimeビデオに乗り換えた。Netflixとの比較もまたの機会に書きたい

*2:インターステラーは2時間50分もある。